概要
干支の順番
あの、いきなりですけど、いい大人が干支の順番を言えないって、これ社会問題だと思うんですよ。いえ、私が言えないだけなんですけどね。でも聞いてくださいよ。あれ、覚える気なくしませんか。
まずスタートが「ね、うし、とら、たつ、み」じゃないですか。ここまではいいんです。呪文としてリズムがいいから。でも、冷静にメンツを見てほしい。
最初は「ねずみ」でしょう。で、次が「うし」。ねずみが牛の背中に乗ってて、ゴール直前でぴょんと飛び降りて一等賞。このエピソード、美談みたいに語られてますけど、普通に考えて汚くないですか。ドーピングとかより質が悪い。ヒッチハイクして運転手を刺したみたいなもんですよ。そんな卑怯な奴がリーダーの組織、信じられます?
で、その次が「とら」で「うさぎ」。ここもおかしい。食物連鎖がバグってるんですよ。虎の次にウサギを並べたら、もうそれは「捕食」の現場なんです。ウサギの気持ちになってみてください。前の奴が自分を食う気満々の猛獣で、後ろには架空のモンスターである「たつ」が控えてる。どんなデスゲームだよって話ですよ。
その「たつ」も納得いかない。なんで急にファンタジー枠を入れたんですか。動物園のラインナップに、一頭だけサラマンダーが混じってるようなもんですよ。しかもその次が「へび」。もう質感の癖がすごい。急に「爬虫類・想像上の生き物コーナー」が始まるんです。
中盤の「うま、ひつじ」。ここはいい。平和。でもここらへんで、だいたいみんな意識が朦朧としてくる。あまりに牧歌的すぎて、記憶のフックが全くない。
問題は終盤ですよ。「さる、とり、いぬ」。ここ、最大の罠だと思うんです。 日本人なら誰しも、桃太郎という強力なバックボーンがあるじゃないですか。あっちのチームは「さる、いぬ、きじ」なんですよ。でも干支は「さる、とり、いぬ」。鶏が犬より先に割り込んできてる。
これ、絶対現場で揉めてますよね。猿と犬が喧嘩してる間に、鶏が「すんませーん、自分、鳥類代表なんで!」って言って、スッと列に入り込んだ。その結果、本来セットであるはずの猿と犬が、鶏を挟んでディスタンスを取ることになった。この気まずい三連星を覚えなきゃいけない僕らの身にもなってほしい。
最後が「い」。いのしし。これね、猪突猛進って言うくらいだから、本当はもっと早く着いてなきゃおかしいんです。あいつ、絶対に途中で道を間違えてますよ。もしくは、あまりの勢いにブレーキが効かなくて、地球を一周して最後尾に突っ込んできた。そう解釈しないと、あんなスピードスターがビリなわけがない。
こうやって一人一人の事情を考えていくとね、もう順番なんてどうでもよくなってくるんです。 「ね、うし、とら」まではいい。「たつ」で一回戸惑って、「へび」で引く。中盤の草食動物コンビで休憩して、桃太郎のメンバーの不仲を心配しながら、最後に迷子の猪を迎える。
ほら、こうやって考えると、不思議と順番が頭に入……入らないんですよ。結局「とり」と「いぬ」がどっちだったか、今この瞬間にまた分からなくなりましたから。
来年からもう、全員横並びでいいんじゃないですかね。
次はどんな「覚えられない話」をしましょうか。歴史の年号ですか。あれも、鳴かぬなら自分が鳴こうホトトギス、みたいな話ですよね。また今度ゆっくり、独り言として聞いてください。