あらすじ
古い本の中から見つけた一枚の地図。それは、自分たちが住む町のすぐ近くにある「迷いの森」の秘密を解き明かす鍵でした。主人公のリクが、泣き虫の精霊コンタと出会い、森の光を取り戻すために勇気を出して一歩を踏み出す物語です。 この物語は、お子様の**「他者を思いやる心」と「困難に立ち向かう知恵」**を刺激し、読後には身近な自然が少しだけ特別に見えるような魔法をかけます。
本文
【屋根裏部屋の発見】
土曜日の午後、リクはほこりっぽい屋根裏(やねうら)部屋で、一冊の古い図鑑(ずかん)を見つけました。そのページの間から、キラリと光る「黄金の地図」が落ちてきたのです。
「これは……ただの地図じゃないぞ。」
リクの心臓(しんぞう)が、トクンと鳴りました。地図には、家の裏山にある、誰も入ってはいけないと言われている「迷いの森」の奥深くが描かれていたのです。リクは青いパーカーを羽織り、黄色いリュックを背負うと、迷わず家を飛び出しました。
【森の入り口と不思議な気配】
森に一歩足を踏み入れると、空気の色が変わりました。光を放つキノコや、見たこともない色の花が咲いています。リクは地図を確認しながら、計画(けいかく)通りに森の奥へと進みました。しかし、進むにつれて木々が重なり合い、あたりは少しずつ薄暗くなっていきます。
すると、どこからか「え~ん、え~ん」と、小さな泣き声が聞こえてきました。大きな古木の根元まで行くと、そこには不思議な生き物がうずくまっていました。
【泣き虫のコンタとの出会い】
その生き物は、オレンジ色の毛並みをした、小さなキツネの精霊(せいれい)でした。頭には赤い落ち葉の帽子を乗せています。
「どうしたの? 君はだれ?」 リクが優しく声をかけると、その子は大きな涙目でリクを見上げました。 「ぼくはコンタ……。森の光を守る『光の種(たね)』を、影の怪物(かいぶつ)に奪(うば)われちゃったんだ……。」
コンタは二本足で立ち上がり、震(ふる)える声で言いました。このままでは、森の植物たちはみんな枯(か)れて、真っ暗になってしまうというのです。リクは、コンタの小さな手をしっかりと握(にぎ)りしめました。
「大丈夫(だいじょうぶ)だよ。僕がいっしょに解決(かいけつ)する。協力(きょうりょく)して取り返そう!」
【影との対決】
二人は森の最深部(さいしんぶ)で、ゆらゆらと揺(ゆ)れる巨大な影の怪物を見つけました。影は「光の種」を飲み込もうとしています。 「コンタ、僕が注意を引くから、君はその隙(すき)に種を取り戻して!」
リクはリュックから鏡(かがみ)を取り出し、わずかに差し込む光を反射(はんしゃ)させて影の目に当てました。 「うわあぁっ!」 影がひるんだ瞬間(しゅんかん)、コンタは勇気を出してジャンプし、光の種を奪い返しました。種がまばゆい黄金色の光を放ち、影を消し去っていきます。
【再び光る森】
影が消えると、森に温かな太陽の光が戻ってきました。花々は一斉(いっせい)に花を咲かせ、鳥たちの歌声が響(ひび)き渡ります。
「リク、ありがとう! 君は本当の勇者(ゆうしゃ)だね。」 コンタはうれしそうに笑い、リクの肩(かた)に飛び乗りました。黄金の地図を見ると、新しい道が浮き上がっています。冒険はまだ始まったばかりのようです。
リクは、コンタと一緒に森の出口へ歩き出しました。その表情(ひょうじょう)は、家を出たときよりも少しだけ、大人びて見えました。
あとがき
この物語では、8歳のお子様が自分を投影(とうえい)しやすいよう、日常の延長にある冒険を描きました。「泣いている友達を助ける」「道具を使って工夫する」という行動は、学校生活でも大切になる要素です。
【親子での会話のヒント】
- 「リクが鏡を使って影をやっつけたけど、他にどんな道具があれば勝てたかな?」
- 「コンタはとっても怖がりだったけど、最後はどうして勇気を出せたと思う?」
- 「もし君が黄金の地図を見つけたら、どこへ行ってみたい?」
このような問いかけを通じて、お子様の想像力と言語化する力を一緒に育んでみてください。




