あらすじ
(保護者の方へ:小学2年生の男の子が、不思議な生き物との出会いを通じて、ほんの少しの勇気と優しさを学ぶ物語です。秋の美しい情景の中で変化していく主人公の心の動きを、温かい絵とともにお楽しみください。)
本文
学校の 帰り道、りくは 一人で 歩いて いました。 空は 高く 青く、秋の 風が ふいています。 道には、赤や 黄色の 落ち葉が たくさん ありました。 りくは、足元を 見ながら 歩くのが すきです。 すると、見たこともない きらきらした 青い 葉っぱが、一枚 落ちて いました。 「なんだろう。」 りくが 手を のばすと、風が ふいて、その 葉っぱは ひらひらと 森の 方へ 飛んで いきました。 りくは、すいこまれるように 森の 中へ 入って いきました。
森の 中は、少し 暗くて、ひんやりして いました。 カサカサと 音を 立てて 進むと、大きな 木の 根元で、小さな 何かが 泣いて います。 それは、赤い 落ち葉の ぼうしを かぶった、子ギツネのような 不思議(ふしぎ)な 生き物でした。 名前は コンタと いうそうです。 「どうしたの?」と、りくが 聞きました。 コンタは、涙(なみだ)を ふきながら 言いました。 「たいせつな 『光る木の実』を 落としちゃったんだ。あれが ないと、冬の あいだ、森が 暗くなっちゃうの。」 りくは、コンタが かわいそうに なりました。 「ぼくも いっしょに さがして あげるよ。」
二人は、森の 奥(おく)へ 進みました。 日が しずみかけて、森は どんどん 暗くなります。 そのとき、バサバサバサ! と 大きな 音が しました。 意地悪(いじわる)そうな カラスが、何羽(なんわ)も 飛んできて、コンタを つつこうと しました。 コンタは ふるえて います。 りくは、心臓(しんぞう)が ドキドキしました。でも、勇気(ゆうき)を 出して、大きな 声で 言いました。 「やめろ! あっちへ 行け!」 りくが 両手を 広げて コンタを 守ると、カラスたちは おどろいて 逃(に)げて いきました。 すると、カラスが いた 場所に、青く 光る 木の実が 落ちて いました。
コンタは、光る木の実を 大切そうに ひろいました。 「ありがとう、りくくん。きみは 強いね。」 コンタが にっこり 笑うと、森の 木々も うれしそうに ざわめきました。 森の 出口まで、コンタが 送って くれました。 空には、一番星が 光って います。 「また 会えるかな。」りくが 聞くと、コンタは 小さく うなずいて、森の 奥へ 走って いきました。 りくは、ポケットの 中に、温かい ものを 感じました。 それは、コンタが くれた 小さな 木の実でした。 りくは、来る ときよりも 少しだけ 胸(むね)を はって、家に 帰りました。
あとがき
誰かを助けたいと思ったとき、心の中に小さな勇気が生まれます。その勇気は、きっとあなたを少しだけ強くしてくれます。秋の夕暮れ、りくが出会った不思議な友達のように、あなたの周りにも素敵な出会いが隠れているかもしれませんよ。



